2023年3月5日(日)、「マリンチャレンジプログラム2022 全国大会 〜海と日本PROJECT〜」を開催しました。本大会では、昨年7-8月に5つの地区ブロックで開催された地方大会にて全40チームの中から選抜された15チームによる口頭での研究発表が行われ、審査によって最優秀賞および各賞を決定しました。各チームからは、8月の地方大会後の研究成果について熱意あふれる発表が行われました。 また、本大会では2022年度に実施した共同研究プロジェクトに参加した10チームによるポスター発表も行われました。
<大会概要>
大会名:マリンチャレンジプログラム2022 全国大会〜海と日本PROJECT〜
日 時:2023年3月5日(日)9:50開場、10:00~16:30
場 所:
参加者:全国大会選出チーム15チーム、共同研究プロジェクト参加の10チーム、審査員、研究コーチ、見学者
内 容:採択チーム15件の口頭発表、共同研究プロジェクト参加チーム10件のポスター発表、ポスター交流会
主 催:日本財団、一般社団法人日本先端科学技術教育人材研究開発機構、株式会社リバネス
発表テーマおよび各賞は以下の通りです。
No. | 研究テーマ名 | 研究代表者 | 学校名 | 受賞名 |
1 | 棘皮動物の体の方向性 | 今村 響 | 熊本県立済々黌高等学校 | |
2 | 藻の生物利用による物質生産~光合成の出来る繊維製品の開発の可能性を探る~ | 加藤 乃絵奈 | 香蘭女学校高等科 | JASTO賞 |
3 | 津波減波に最適な防波堤形状と設置方法に関する研究 | 問芝 璃音菜 | 新宮高等学校 | |
4 | 環境DNAの手法を用いたサンショウウオ保全プロジェクト | 松木 志帆 | 仙台城南高等学校 | |
5 | 井堰が河川の水質に及ぼす影響 | 松尾 恭加 | 大阪府立富田林高等学校 | |
6 | 大人になれなかったもやし達~アマモ実生の本葉展開条件の研究~ | 林 志龍 | 岡山学芸館高等学校 | |
7 | 天降川水系におけるエビ類の生態について | 町田 征彦 | 鹿児島県立国分高等学校 | リバネス賞 |
8 | 遠州灘海岸における離岸流発生要因と兆候の解明 | 松本 成雅 | 浜松学芸高等学校 | 審査員特別賞 |
9 | マルスズキの個体による耳石の形状パターンの相違をもたらす原因の考察 | 辻本 新 | 栄東高等学校 | 最優秀賞 |
10 | イネに適した施肥量の考察〜豊かな食と水環境を守りたい〜 | 石田 蓮 | 京都府立東稜高校 | |
11 | 海面上昇により水没のある国々の土壌侵食阻止方法 | 岩田 茉愛 | 立命館高等学校 | |
12 | 使用済み使い捨てカイロで流れ出る肥料を減らす―山から海を守る | 伊藤 由菜 | 山陽女学園高等部 | |
13 | 瀬戸内海から始める海洋プラスチック問題の解決 | 村上 陽向 | 愛媛大学附属高等学校 | 日本財団賞 |
14 | ウキゴリ属の生息域は、河川環境の新たな環境指標となりうるか? | 渡邉 伸瑛 | 山形県立加茂水産高等学校 | 審査員特別賞 |
15 | 魚類の性転換における生体内外の変化と採血を用いた性識別の確立 | 相木 春人 | 浅野中学高等学校 |
<受賞結果>
最優秀賞「マルスズキの個体による耳石の形状パターンの相違をもたらす原因の考察」
辻本 新 栄東高等学校
受賞理由
2歳の頃から始めた釣りを楽しむ中で小さな疑問点を発見し、マルスズキの耳石を大量に集めながら追求する姿に熱意を感じた。夏に実施した地方大会からの短い期間に、身近な魚の不思議に対し、仮説立案から分析・解析のアプローチ構築、結果の考察のすべてがきちんとできており、耳石の謎に迫っていたから。
日本財団賞「瀬戸内海から始める海洋プラスチック問題の解決」
村上 陽向 愛媛大学附属高等学校
受賞理由
今瀬戸内海は日本最大の閉鎖水系として、大人たちはプラごみをなくすモデル地域として世界に発信しようとしている。でもそんな大人の動きに引っ張られずに、大学や地元の関係者とも議論しながら、この課題を自分ごととして能動的に動いている点を評価した。
JASTO賞「藻の生物利用による物質生産~光合成の出来る繊維製品の開発の可能性を探る~」
加藤 乃絵奈 香蘭女学校高等科
受賞理由
光合成で炭素固定する藻類の活用方法の検討が叫ばれていて、その活用方法がまだまだ決まらない中、繊維として使うというアイデアが提案された。まだ開発をするにあたって、解決しなければいけない問題はたくさんあるが、そういうことを検討する段階にきていることを評価した。
リバネス賞「天降川水系におけるエビ類の生態について」
町田 征彦 鹿児島県立国分高等学校
受賞理由
近年、生態系が過去と比較して変化することに悪い印象をもたれる雰囲気の中、天降川では30年前と比較して種数が増しているという事実を明らかにした。それを客観的事実として受け止め、良し悪しではなくて、なぜそうなったのかのディスカッションを行えていた。生態系の変化をどう捉えるとよいのか、非常に考えさせられるテーマだったから。
審査員特別賞「遠州灘海岸における離岸流発生要因と兆候の解明」
松本 成雅 浜松学芸高等学校
受賞理由
離岸流がなぜ発生するのかは研究では説明できるし、熟練のサーファーも経験則で知っている。しかし季節ごとに海底地形は変わっており、ピンポイントの地域でそこまでやっている人はいない。自分たちでモデルを作ったりして解き明かそうとしている。研究を通して一般の人にわかりやすいように、伝えていける、そう思って応援したい。
審査員特別賞「ウキゴリ属の生息域は、河川環境の新たな環境指標となりうるか?」
渡邉 伸瑛 山形県立加茂水産高等学校
受賞理由
ウキゴリ属の種による生息域の違いといった素朴な疑問を検討して、答えていく、かつテンポの良い発表で楽しげでよかった。私自身も動物の形態観察などしている中で、自分もなんでこんなことになるんだろう?と疑問をもったことを確かめている。同じように頑張っている姿を応援したいと思った。
15件の口頭発表の審査は、以下の審査員の皆さまにご協力いただきました。
氏名 | 所属 | 肩書 | |
審査員長 | 岡崎 敬 | 株式会社リバネス 製造開発事業部 | 部長 |
審査員 | 中嶋 竜生 | 日本財団 海洋事業部 | 部長 |
審査員 | 都筑 幹夫 | 一般社団法人日本先端科学技術教育人材研究開発機構 | 代表理事 |
審査員 | 居駒 知樹 | 日本大学 理工学部 海洋建築工学科 | 教授 |
審査員 | 岩田 容子 | 東京大学 大気海洋研究所 海洋生物資源部門 | 准教授 |
また、当日はマリンチャレンジプログラム 共同研究プロジェクトに参加する10チームもポスター発表を行いました。
<共同研究プロジェクト参加チーム>
No. | 代表者 | 所属 | 所在地 |
1 | 齋藤 響葉 | 勝田中等教育学校 | 茨城県 |
2 | 萬谷 龍 | 逗子開成中学校 | 神奈川県 |
3 | 春原 美咲 | 横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学校 | 神奈川県 |
4 | 青木 美桜 | 大阪府立枚方高校 | 大阪府 |
5 | 平野ちひろ | 純心女子高校 | 長崎県 |
6 | 中村香菜 | 茨城県立緑岡高等学校 | 茨城県 |
7 | 山村 華 | 大阪学芸中等教育学校 | 大阪府 |
8 | 吉本心美 | 岡山県立倉敷鷲羽高等学校 | 岡山県 |
9 | 藤原 楓也 | 徳島県立徳島科学技術高等学校 | 徳島県 |
10 | 栄楽 将志 | 種子島中央高校 | 鹿児島県 |
◎マリンチャレンジプログラムについて
マリンチャレンジプログラム2022の実施概要や全国の採択チーム・研究テーマ一覧は、Webサイトからご覧いただけます。マリンチャレンジプログラムは「海と日本PROJECT」の一環で実施しています。
URL:https://marine.s-castle.com/